まとまった緑が点在する下落合

新宿区下落合周辺、とくに新目白通りの北側は、まとまった緑が点在しており、野鳥を見かけることが多いエリアです。前回のおとめ山公園の他にも、西へ徒歩で数分のところには、下落合野鳥の森公園があります。

下落合野鳥の森公園でオナガに出会う

柿の実をついばむオナガ(下落合野鳥の森公園。2019/12撮影)

新目白通りの北側は、落合崖線(目白崖線)の斜面地で、かつては樹木が生い茂っていました。現在は、住宅がびっしりと並んでいますが、ところどころに名残があります。
新宿区立の下落合野鳥の森公園は、小規模ながら、樹林地をベースにした公園です。もともとは、民家の林と薬王院の境内の林に囲まれた鬱蒼とした公園だったそうです。ところが、公園の北東側の民家が売却され、木々が伐採されてしまいました。鬱蒼とした雰囲気こそなくなりましたが、今も公園内には多数の樹木があり、さまざまな野鳥が集まってきます。

昨年12月に訪れた際には、オナガを見かけました。10羽に満たない程度の小規模の群れでやってきて、柿の実をついばんだり、シュロの木に潜んでいる虫を狙ったりしていました。

けたたましく鳴きながら、オナガがせわしなく飛び回る(下落合野鳥の森公園。2019/12撮影)

名前の通り、体より長い尾をもちます。逆光の写真しかなく見づらいですが、水色の翼と尾をもった美しい鳥です。腹は白く、頭の上半分は黒です。意外なことに、カラスの仲間(カラス科)で、鳴き声は、けたたましいです。

シュロの木に潜んでいる虫を狙うオナガ(下落合野鳥の森公園。2019/12撮影)

シュロの木の幹は繊維で覆われており、冬でも暖かそうなので、虫がいるのでしょう。入れ替わり立ち代わり、オナガが飛来していました。

DATA
種名 分類 渡り区分
オナガ スズメ目カラス科オナガ属 留鳥

空き地の藪といえばスズメ

下落合野鳥の森公園から西へ徒歩で数分いったあたりの住宅街に、ぽっかりと空き地がありました。つる植物が生えており、ちょっとした藪になっています。住宅街の藪といえば、スズメが大好きな場所です。

空き地の藪にスズメを発見(下落合周辺。2020/01撮影)

案の定、数羽のスズメが藪に潜みつつ、餌を探していました。

藪の中にはヒヨドリの姿も(下落合周辺。2020/01撮影)

藪は木の実が豊富のようで、ヒヨドリの姿もあります。

DATA
種名 分類 渡り区分
スズメ スズメ目スズメ科スズメ属 留鳥
ヒヨドリ スズメ目ヒヨドリ科ヒヨドリ属 留鳥・漂鳥

住宅街の空き地に、ジョウビタキが登場

ジョウビタキのメスもやってきた(下落合周辺。2020/01撮影)

さらに、下腹から尾っぽの周りが鮮やかなオレンジ色の小鳥もやってきました。ジョウビタキのメスです。
ジョウビタキは、渡り鳥(冬鳥)です。夏は、中国東北部やチベット・ロシアで繁殖し、冬になると、日本や中国南部・ベトナムにやってきます。
よく図鑑に掲載されているのは、オレンジの腹にブラックの顔と羽、さらにシルバーの頭という、とても派手な羽衣をもつオスの方。オスに比べて、メスは、オレンジの部分が少なく、羽や顔・頭も緑がかった褐色で、かなり地味。もっとも、羽にある目立つ白い模様は、オスと共通です。

ちなみに、ジョウビタキのオスは 妙正寺川の小鳥たち(3) の4枚目の写真で紹介しています。

DATA
種名 分類 渡り区分
ジョウビタキ スズメ目ヒタキ科ジョウビタキ属 渡り鳥(冬鳥)

このように野鳥たちが木の実をついばんでいた空き地ですが、実は、マンション建築計画の標識が立っていました。渡り鳥であるジョウビタキが次回やってくるときには、残念ながら、この空き地はなくなっていそうです。